『熱帯』森見登美彦 著

「汝にかかわりなきことを語るなかれ
しからずんば汝は好まざることを聞くならん」
という言葉で物語ははじまります。

「あらゆることが『熱帯』に関係していいる。
 この世界のすべてが伏線なんです」

登場する人物たちが物語の中に絡め取られ、
熱帯の物語が循環していきます。

この世界のどこかに穴が開いていて、
その向こうには不思議な世界が広がっているという感覚。

『千一夜物語』をベースに、
「沈黙の読書会」、「満月の魔女」
キーワードが物語を導いていく。

それにしても
吉田山、節分祭、進々堂、
懐かしい場所が場面として出現し、
具体的なイメージが湧いてきます。

物語の中に自分自身も引き込まれていくような。