プロスペクト理論
コロナワクチンの副作用がメディアで取り上げられたりして、ワクチン接種に不安を感じる人も多いのですが、感染して重症化するリスクと比較したら圧倒的にメリットのほうが現時点では大きいですね。
飛行機事故が発生したら大きく取り上げられますが、比較的発生確率の高い自動車事故などは過小評価されてほとんど取り沙汰されないですね。
プロスペクト理論は行動経済学の代表的な理論のひとつで「人の意思決定は、目の前にある損失の度合いによって変化する」という考え方です。
1979年に米国のダニエル・カーネマンDaniel Kahnemanとエイモス・トベルスキーAmos Tverskyという2人の心理学者によって発表され、行動経済学における代表的な成果としてよく知られるようになりました。
ダニエル・カーネマンは、2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。
利益と損失がまったく同じだったとした場合でも、人間は損失の方を大きく感じてしまう。
目の前に提示されたものの損失の度合いにより、人の意思決定は変化する
人間は損失を回避したがる。
損をしているときはリスクを犯したがる。
■人は利益に対してより確実性を求める
(設問1)
カーネマンは次のような選択を被験者にしてもらいました。
(A)80%の確率で4,000ドルをもらう
(B)100%の確率で3,000ドルをもらう
皆さんはどちらを選ぶでしょうか?
(A)の期待値3,200ドル、(B)の期待値3,000ドルにもかかわらず、
ほとんどの人が(B)を選びました。
■損失回避バイアス
では内容を変えて似たような設問を出してみます。
(設問2)
あなたには200万円の借金があります。
どちらか一方だけを選ぶことができるとしたら、どちらを選びますか?
(A)200万円の借金が無条件で50%減額され、返済額が100万円になる
(B)200万円の借金が50%の確率で全額帳消しになる
皆さんはどちらをを選択しましたか?
こちらの設問では(B)を選択する方の方が実は多いのです。
同様に
たとえば「100人中5人が失敗する手術」と「成功率95%の手術」と言われると
同じ内容でありながら後者を選択する人の方が多い。
人間は、投資やギャンブルで損をしているときに、損失を回収するために大きなリスクを取りに行く。
意思決定の多くが損失回避的な感情によるバイアスがかかっている中で下されています。
人はお得だと言われるよりも、損失を被ると言われることに弱い。
例えば、「いずれ値上げされるから今買わないと損ををしますよ」
というようなセールストークに動かされることも多いのです。