『サピエンス全史』 ―文明の構造と人間の幸福― ユヴァル・ノア・ハラリ
原著のタイトルは、”Sapiens A Brief History of Humankind”
かってアフリカ大陸の一隅でほそぼそと暮らしていた取るに足りない動物(私たち現生人類)が
なぜ、万物の霊長を自称し、「ホモ・サピエンス(「賢いヒト」の意)」と名付け地球を支配するに至ったのか、
その原因とこれからどの方向に進むのか、が述べられています。
なぜ我々はこの世界に生きているのか?
ホモ・サピエンスの歴史を俯瞰することで、現代の世界を今までにない視点で解き明かしています。
非常に理解しやすく、48カ国語に翻訳され大ベストセラーとなったのも納得です。
約7万年前の「認知革命(新しい思考と意思疎通の方法の登場)」を経て、
サピエンスだけが虚構、架空の事物について語れるようになり、
伝説や神話、神々、宗教を生み出し、それを共有するものが柔軟に協働する能力を獲得した。
人間だけが、物理的な実体がないフィクションの存在、
つまり神や貨幣や国家とかの概念を信じられる認知能力を持ち、
それらを扱う言語を通じて他人との協力が可能となったからである。
約1万年前にはじまった「農業革命」で定住から統合への道を歩みはじめる。
貨幣と帝国と宗教(イデオロギー)という3つの普遍的秩序がその動きをはやめる原動力となる。
約500年前に始まった「科学革命」
過去500年間に、人間の力は前例のない驚くべき発展を見せた。
1500年には、全世界のホモ・サピエンスはおよそ5億人いた。
今日、その数は70億に達する。
1500年に人類によって生み出された財とサービスの総価値は、今日のお金に換算して、2500億ドルに推定される。
今日人類が1年間に生み出す価値は、60兆ドルに近い。
1500年には人類は1日当りおよそ13兆カロリーのエネルギーを消費していた。
今日、私たちは1日当り1500兆カロリーを消費している
(これらの数字を見なしてほしい。私たちの人口は14倍、生産量は240倍、エネルギー消費量は115倍に増えたのだ)。
人類の歴史の3つの変革期、「認知革命」「農業革命」「科学革命」を経て、
今、サピエンスは「自然選択の法則」を打ち破り、生物学的に定められた限界を突破し始めている。
人間の意識とアイデンティの根本的な変化が起こる段階に近づいている。
遺伝子操作や、AIによって現れつつある超ホモ・サピエンスの時代、
シンギュラリティは到来するのか?
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目次
第1部 認知革命
第1章 唯一生き延びた人類種
第2章 虚構が協力を可能にした
第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし
第4章 史上最も危険な種
第2部 農業革命
第5章 農耕がもたらした繁栄と悲劇
第6章 神話による社会の拡大
第7章 書記体系の発明
第8章 想像上のヒエラルキーと差別
第3部 人類の統一
第9章 統一へ向かう世界
第10章 最強の征服者、貨幣
第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン
第12章 宗教という超人間的秩序
第13章 歴史の必然と謎めいた選択
第4部 科学革命
第14章 無知の発見と近代科学の成立
第15章 科学と帝国の融合
第16章 拡大するパイという資本主義のマジック
第17章 産業の推進力
第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和
第19章 文明は人間を幸福にしたか
第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ