『深く考える力』 田坂広志 著 

以前から深く影響を受け、勝手にメンターとしている田坂広志先生の最新作。
早速読んでみました。
第2部の「深き思索、静かな気づき」と第3部の「言葉との邂逅」は
雑誌「Forbes JAPAN」にかって掲載されていたものですが、
第1部に「賢明なもう一人の自分」というタイトルで理論的な部分を書き下ろしされています。

細密に論理を積み上げていく「論理思考」は、思考の初歩的な段階に過ぎない。
「深く考える力」とは、論理思考とは全く異なる思考のこと。
それは、心の奥深くに眠る「賢明なもう一人の自分」の叡智を引き出す力。
では、どうすれば、その力を身につけることができるのか。

著者はそれに対して「5つの技法」として分かりやすく述べています。

第1の技法は、まず一度、自分の考えを「文章」に表してみること

思考のプロセスを「明確に技法」として身につけること
第1は、徹底的なブレーンストミングを行い、頭の中のアイデアを、一度、文章として表に出すこと
第2は、そのアイデアがすべてであるとは、決して思わないこと

「賢明なもう一人の自分」の叡智を引き出す
第2の技法は、異質のアイデアを、敢えて結びつけてみること

「対局の言葉を結びつける」こと

「賢明なもう一人の自分」の叡智を引き出す
第3の技法は、自分自身に「問い」を投げかけること

「もう一人の自分」は、「問い」を忘れたとき、考えはじめる
「賢明なもう一人の自分」の叡智を引き出す
第4の技法は、一度、その「問い」を忘れること

「もう一人の自分」は、追いつめられたとき、動き出す
第5の技法は、自分自身を追い詰めること

思索的なエッセイ、随筆、随想などを、数多く読むこと
「思考の流れ」や「思索の深まり」を推測しながら読むこと
「自分だけの格言集」を編集するつもりで読むこと
などが推奨されています。

このように、読書を通じて、
「何かのひらめきを感じる言葉」
「深く共感を感じる言葉」
「思わず考え込む言葉」
に巡り会ったとき、加筆・修正も含め、
「自分だけの格言集」を編むような思いで、それを読むならば、我々の「深く考える力」は自然に磨かれていくと。

第2部、第3部では、著者のその例が語られています。

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目次
第一部 賢明なもう一人の自分
 深く考える力とは、心の奥深くの自分と対話する力

第二部 深き思索、静かな気づき
 文書を書くこと、読むことは、思索の階段を降りていくこと

第三部 言葉との邂逅
 心に触れることがに巡り会ったとき、深い思索が始まる