10月 消費税は本当に上がるのだるうか

■令和の時代のはじまり
年末のような「ゆく時代、くる時代」のセレモニーも一段落し、「令和初の〇〇」という切り口に代表されるようなこの機会を捉えたさまざまなイベント、商品化などのビジネスへ展開の盛り上がりも一段落してきたでしょうか。
新しい令和の時代への希望や歓迎ムードはマスコミ等の報道も相まって概ねいい方向に受け取られ、進んでいるようです。

■10月の消費税値上げ
今年の10月には消費税が2%引き上げられ10%になるということが決められているのですが、先日の萩生田幹事長代行の「6月の景気指標次第では延期もあり得る」との発言のようにまだまだどうなるかは予断を許さない状態のようです。庶民、一般生活者からはどうしても受けのよくない消費税値上げを回避して衆参同時選挙という選択肢の声も聞こえてきます。

1989年(平成元年)に日本に初めて導入された消費税は当時3%でした。1997年(平成9年)4月に5%、2014年(平成26年)4月に8%へと増税されました。そして2015年(平成27年)10月、2017年(平成29年)4月の2度に亘って約束されていた10%への増税が延期されました。現状ではさすがに3度目の延期はなさそうですが、リーマンショック級の事態(明確な定義は述べられていませんが)が生ずれば延期もあり得るとされています。

■消費税引き上げに伴う主な景気対策
消費税が引き上げられるとわれわれ庶民は財布の紐を締めるようになるので、消費の落ち込みを防ごうとその対策が講じられています。

○軽減税率の導入
食料品などの消費税率は8%に据え置き
○幼児教育の無償化
3~5歳児の認可保育所などの利用料を無料に。
0~2歳児は住民税非課税世帯が対象
○キャッシュレス決済のポイント還元
中小の小売店などでクレジッドカードやスマートフォンのQRコードを利用
して決済した場合、価格の5%を消費者に還元
○プレミアム付き商品券発行
2万5000円分の買い物が可能な商品券を2万円で購入できる。
2歳以下の子供がいる世帯や住民非課税世帯が対象。

諸費増税を前提とした19年度予算が成立し、増税対策として2兆280億円が盛り込まれました。

■軽減税率対応のためのレジ・システム補助金
中小企業庁は消費税の軽減税率対応のためのレジ・システム補助金を大幅に拡充しました。

1.軽減税率対応レジの導入・改修の支援
対象者:軽減税率の対象商品の販売を行っている中小の小売事業者等
補助率:原則 3/4
なお、3万円未満のレジ購入の場合4/5
補助上限:レジ1台あたり20万円、券売機1台あたり20万円
商品マスタの設定等が必要な場合にはプラス20万円で上限40万円
1事業者あたり上限200万円
完了期限:2019年9月30日まで

2.受発注・請求書管理システムの改修等の支援
<受発注システムの改修等支援>
対象者:軽減税率制度の導入に伴い電子的に受発注を行うシステムの改修等を
行う必要がある中小の小売事業者、卸売事業者等
補助率:原則 3/4
補助上限:1000万円(発注システム)、150万円(受注システム)
完了期限:2019年9月30日まで
システム会社に改修を依頼する場合は、2019年6月28日までに事前申請が必要

<請求書管理システムの改修等支援>【2019年2月6日から補助対象化】
対象者:軽減税率制度の導入に伴い請求書管理システム(※)の改修等を行う
必要がある中小の卸売事業者、製造事業者等
(※区分記載請求書等保存方式に対応した請求書の発行を行うシステム)
補助率:原則 3/4
補助上限:150万円
完了期限:2019年9月30日まで

※補助金の詳細は http://kzt-hojo.jp 参照

■当面の混乱状況が目に見える
上記の軽減税率は消費税増税と同時に適用されます。飲食店の場合、持ち帰れば8%、店内で食べれば10%と複雑な設定となっており、複数税率へのレジ対応など現場の負担は相当大きなものとなるでしょう。

お付き合いのある中小零細の小売店では何も対応できてないという声もまだまだ多く、実際は制度が始まってみないとどうなるか、ある程度の混乱は避けられそうにない。キャッシュレス決済のポイント還元、プレミアム付き商品券も相まって、人手不足でも問題をかかえる小売店現場は当面は大変なことになるでしょう。
それにしても今回の増税に伴う税率の複雑さは、どの店が何%なのかその境目が生活者にとってはどうにもわかりにくい。実施に向けて大手を中心には着々と人部が進んでいるようですが、「社会保障と税の一体的改革」と当初言われていた社会保障の財源としての本来の目的はだいぶ薄くなって来たように思われます。