真人生の創造 ―中村天風講演録
昭和28年から昭和43年の間に語られた講演から選ばれて新たに章立てされた講演録です。
いろいろな人々が影響を受けたと述べられている天風先生のお話をあらためて読んでみました。
何かに張り合おうとか負けまいというような対抗する心ではなく、
先入観や偏見をもたず、怒りや恐れや悲しみなどにとらわれない、
澄み切った心の状態で物事に対応する「積極精神をつくる」方法を説かれています。
心というものを、「肉体についている心」と、「精神についている心」というふたつの窓として捉え、
絶えず何事かを思っている、考えている、同じ冗談口を行ってる場合に心に思い浮かべるときでも
このどちらかの心が心の働きを行う、実在意識領域に出てきていろんなことを思ったり考えさせたりしている。
そして「心に使われて生きてはならない」と解き、
理性ではなく、意志の力のよって感情をコントロールすること。
感情のコントロールができるようになるためには、確固たる人生を確立すること。
そしてその人生が確固としたものになる程度に応じて、それが内的誘導力になって、
消極感情をコントロールできるような人間になっていくのだと・・・。
目次
第1章 理想的人生のあり方
強さと長さと広さと深さ
人間とは感情を統御できる生物
感情をコントロールできない人々
消極的な感情は抵抗力を弱める
「六つの力とは」何か
六つの力を自己批判せよ
人生に対する正しい理解
潜在勢力の煥発
第2章 生きがいについて
なぜ幸福に生きられないのか
本心の煥発
原因と結果とは、常に相等しき一線の上にある
苦悩の中に人生の幸福がある
積極的思考について
怒らず、怖れず、悲しまず
世のため人のために生きる
自責の念を排す
日常の刹那刹那が修行
天風会デクラレーション
第3章 心とは
私は宗教では救われなかった
心とはなんぞや?
二色の心 ―(1)「肉性心」~肉体生命に付随する心~
動物に共通する三つの欲望
二色の心 ―(2)「心性心」~精神生命に付随する心~
心に使われて生きてはならない
万物の霊長たる生き方
雑念、妄念が消える
御前講演
心を使いこなすのは「理性」ではなく「意志」
第4章 生きる心構え
生きる心構え
運命の種は自分で蒔いている
ロックフェラーが示した関心
100万人の付和雷同者よりも、ただ一人のリアリストを
天風ならではの人類愛
教理は教えても、方法は教えないインドの師
正直、親切、愉快に
和の精神
波乱の人生に鹿島立つ