4K・8K、5G、IoTが拓く世界~技術による産業構造の変革~

■4K、8K放送はじまる
この12月から新しい放送規格4K、8Kの放送が始まりました。我が家のテレビの画面には一部の薄い陰りが現れだしなんとなく竜巻のようなものが生じていてそろそろ買い替え時期かなと思いつつもあり、少し詳しく知りたくなりました。
今までよりも美しく繊細な映像が見られるようになり、大きな画面でもきれいに美しい映像が味わえるということ。個人的には今のデジタルハイビジョンの映像で十分繊細できれいだと思っているのですが。

■画質と密接な関係にある解像度と画素数
そもそも「4K」とは、スーパーハイビジョン超高精細度テレビジョンやサービスに用いられる放送規格で、4Kの解像度は水平3840画素×垂直2160画素、総画素数約829万画素で、いままでのフルハイビジョン(2K)の水平1920画素×垂直1080画素、総画素数約270万画素数に比べ、4倍の画素数を持っています。
この水平画素数4000の映像を「4K」、水平画素数8000の映像を「8K」と呼んでいます。4Kテレビ放送は水平3840画素でほぼ4000ということでこのように呼ばれています。ちなみに「8K」は水平7680☓垂直4320、総画素数約3300万画素で2Kの16倍になります。

■松竹梅の3つの価格帯
こうしていま巷には大きくフルハイビジョン(2K)、4K、そして8Kという選択肢があるようです。
商品の価格戦略を練る場合よく松・竹・梅の3つの価格帯の設定を設ければ俄然真ん中の価格帯の商品がよく売れ、しかも全体としても売上が上がるという傾向があります。
「三段階の選択肢があった場合、多くの人は真ん中のものを選ぶ」とよく言われます。和食の店に入って4500円、6000円、8000円のコースがあったら多くの人は真ん中の6000円を選ぶ傾向があり、6000円のが最もよく出ます。「高い商品のほうが品質は良いはず。でも一番高いのはちょっと贅沢な気がするし、一番安いものではちょっと貧乏くさいし」というような感情、世間体を気にしてという気持ちも影響しているかなと思われます。これが2つの選択肢になれば約7割の人が安い方を選ぶ傾向にあると言われています。
折しも大型家電販売店のチラシなどがこの機にあわせてよく折り込まれていますが、4Kテレビが結構目につくようにデザインされています。

■データ通信からIoTの時代へ
4K・8K放送とあわせて、ネットワーク分野の「5G」という言葉をよく目・耳にするようになりました。「G」はGeneration(世代)のことですが、「第五世代移動通信システム」と呼ばれています。
日本でアナログ方式の携帯電話が始まったのは1979年。このアナログ無線技術のネットワークが第一世代(1G)、1993年のデジタル方式を採る携帯電話システムが第二世代(2G)、音声だけでなくメールやネットも携帯電話から利用できるようになりました。
2000年に入って3Gでモバイルブロードバンド時代が到来し、高速・大容量のデータ通信が可能となりました。
そして現在の4G、高速化が急ピッチで進められ、現在はストレスなく動画コンテンツやゲームを楽しめるようになり、スマートフォンのためのモバイルネットワークとして進化し続けてきました。

3G、4Gときてより高速化・大容量化を加速するのはもちろんですが、5Gがターゲットするのは、「2020年代の社会を支えるモバイルネットワーク」「IoTの普及に必須とあるインフラ技術」という位置づけです。
「超高速」「高密度大容量」「低遅延高信頼」がキーワードとして挙げられ、IoTをはじめとする社会の変化にも対応した通信サービス、PCやスマートフォンなどモバイル端末までで閉じていた情報通信ネットワークを、家庭内の家電や自動車にまで広げ、さまざまな情報の統合、よりスマートなシステムを模索する動きが探求されています。

■5Gがもたらす技術の進化と近未来
4Gの100倍の通信速度をもつ5Gが普及すると高精細のリアルタイムで送受信できるようになり、4K・8Kで撮影された映像を5Gで送受信すれば最先端の手術で使われる極細な糸もはっきりと見えるようになり遠隔医療にも活用されるようになるでしょう。和歌山県立医科大学と日高川町の間で4K映像によるテレビ会議システムが導入され、患部画像やMRI画像の送受信による遠隔診療の事例も紹介されていました。
自動運転の分野はソフトバンクとトヨタが結びついたように高速・大容量、低遅延、多接続という5Gの特性が最も生きてくるでしょう。TV放映などのエンタテイメントから過疎地の医療サービスや交通問題などの社会インフラ問題までいろんな分野への拡大が期待されます。
5Gは建築や物流、医療、製造、運輸などあらゆる業界との組み合わせにより変革を起こすと言われています。いまそのスタート地点にいると思われます。
4K・8K、5G、IoTほか、様々な技術が結びついて既存の産業構造が変化しつつあります。いままでになかった新たなサービスがネットワークを通じて新しい「共創」が生まれつつあります。まずは2020年の東京オリンピックに向けて社会は大きな変化を着実に迎えようとしていると言えるのではないでしょうか。
最近急速にキャッシュレス決済が話題となり、後発のPayPayは「100億円あげちゃうキャンペーン」と銘打ってPayPayで支払ったら20%戻ってくると話題になっています。わが家のテレビジョンは年明けくらいには4Kになっているでしょうか。今はまだ差し迫っていないのですが。

(P.S.このキャンペーンは12月4日から始まって100億円相当に達したため、12月13日で終了してしまいました。残念!!また第2段があるかも?)